賞与額が同一の2人の社員の所得税の金額違うのはどうして?
2人の社員の賞与額が同一なのに、所得税額が異なるのは一体どうしてでしょう?
それは賞与の所得税は前月の給与明細書に基づいて計算されるからです。
例えば、下記の宮城さんと福島さんの2020年7月支給の賞与は二人とも35万円で同額です。でも、所得税額は違いますね。
どうしてでしょうか。答えは国税庁の「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」の備考欄に書かれています。
(1) まず、その人の前月中の給与等(賞与を除きます。以下この表において同じです。)の金額から、その給与等の金額から控除される社会保険料等の金額(以下この表において「前月中の社会保険料等の金額」といいます。)を控除した金額を求めます。
(2) 次に、扶養控除等申告書により申告された扶養親族等(その申告書に記載がされていないものとされる源泉控除対象配偶者を除きます。また、扶養親族等が国外居住親族である場合には、親族に該当する旨を証する書類が扶養控除等申告書等に添付され、又は当該書類が扶養控除等申告書の提出の際に提示された扶養親族等に限ります。)の数と(1)により求めた金額とに応じて甲欄の「前月の社会保険料等控除後の給与等の金額」欄の該当する行を求めます。
(3) (2)により求めた行と「賞与の金額に乗ずべき率」欄との交わるところに記載されている率を求めます。これが求める率です。
ここで宮城さんの賞与の前月、2020年6月の給与明細書を見てみましょう。
ちなみに宮城さんは扶養親族が5人います。それで「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(令和2年分)」の表を見ると、課税対象額が243,000~300,000の範囲で扶養親族等の数が5人の場合、「賞与の金額に乗ずべき率」は「2.042%」となります。
次に福島さんの2020年6月支給の給与明細書を見てみましょう。
福島さんに扶養親族はいません。同じく表を見ると、課税対象額が79,000~252,000の範囲で扶養親族がいない場合、「賞与の金額に乗ずべき率」は「4.084%」となります。
それで宮城さんの場合、賞与の課税対象額296,060×0.02042=6044という所得税が算出され、一方福島さんは課税対象額299,163×0.04084=12217という所得税額になり、それによって賞与額は同じ35万なのに所得税額が異なるという結果になるわけです。